○高取町手話言語条例
令和6年9月19日
条例第22号
言語は、お互いの感情を分かり合い、知識を蓄え、文化を創造するうえで不可欠なものであり、人類の発展に大きく寄与してきた。手話は、音声言語と異なる言語であり、手指や体の動き、表情を使って視覚的に表現する言語である。ろう者は、物事を考え、コミュニケーションを図り、お互いの気持ちを理解し合うために、また、知識を蓄え、文化を創造するために必要な言語として手話を大切に育んできた。こうした中で平成18年に国際連合総会で採択された障害者の権利に関する条約(平成26年条約第1号)や平成23年に改正された障害者基本法(昭和45年法律第84号)において、手話は言語として位置づけられたため、手話に対する理解を深め、手話を使用しやすい環境を整備していくことが求められている。
高取町は手話が言語であるという認識に基づき、手話を第一言語とするろう者の権利を尊重し、手話の理解と広がりをもって地域で支え合い、聴覚障害の有無にかかわらず、全ての町民が安心して暮らすことができる町を目指し、この条例を制定するものである。
(目的)
第1条 この条例は、手話は言語であるとの認識に基づき、基本理念を定め、町の責務並びに町民及び事業者の役割を明らかにするとともに、手話を必要とする町民の社会参加を保証し、全ての町民が共生することのできる社会の実現に寄与することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において「ろう者」とは、聴覚に障害があり手話を言語として日常生活又は社会生活を営む者をいう。
(基本理念)
第3条 手話への理解の促進及び手話の普及は、手話がろう者による情報の取得、意思の表示及び他者との意思疎通の手段として必要な言語であるという基本的な認識の下に行わなければならない。
(町の責務)
第4条 町は、前条の基本理念にのっとり、町民の手話への理解促進及び手話の普及を図り、日常生活及び社会生活において手話を使いやすい環境を整備するための施策を推進するものとする。
(町民の役割)
第5条 町民は第3条の基本理念にのっとり、手話への理解を深め、町が推進する施策に協力するように努めるものとする。
2 ろう者は、第3条の基本理念にのっとり、町が推進する施策に協力するよう努めるとともに、手話の意義及び手話への理解の促進並びに手話の普及に努めるものとする。
(事業者の役割)
第6条 事業者は、第3条の基本理念への理解を深め、町が推進する施策に協力するよう努めるとともに、ろう者に対してサービスを提供するとき、又はろう者を雇用するときは、手話の使用に関して合理的な配慮を行うものとする。
(施策の推進)
第7条 町は、次に掲げる施策の推進に努めるものとする。
(1) 手話への理解の促進及び手話の普及に関する施策
(2) 手話による意思疎通の支援に関する施策
(3) 手話による情報取得に関する施策
(4) 前3号に掲げるもののほか、町長が特に必要と認める施策
2 町は、前項各号に規定する施策を推進するに当たって、福祉についての施策に関する町の計画と調和を保ちながら推進するよう努めるものとする。
(財政上の措置)
第8条 町長は、手話に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
(委任)
第9条 この条例に定めるもののほか、必要な事項は町長が別に定める。
附則
この条例は、公布の日から施行する。